べに

正欲のべにのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.1
宣伝のコピーにもあったけれど、見た後、本当にもとには戻れないと思っている。
見た後、というより、原作を読んだ時正にそう思った。

不登校の子やLGBTQの人にも自分は別け隔てなく付き合えるし、かといってそれを良い人振るつもりもないし、理解あるつもりでいた。

でもそれって「今の時代、理解しなきゃいけない」から頭で理解していただけだったのかな、と思わされた。

「藤原悟」が出てくる昔の新聞記事、この作品を見なければ、恐らく私もこの記事をちゃかした小学生と同じ感想を持ったと思う。それに何の不思議も感じなかったと思う。

嗜好や考えの多数側にいるがゆえの少数派への偏見。むしろ戦争だってその構図ではないのかと思える。


原作にはあって映画で抜けてしまった部分に、学園祭をダイバーシティをテーマにしようとして色々な企画を八重子たちが考え行動していくところ。
ヒットドラマ「オジサンだって恋いしたい」のプロデューサーを招いた企画を検討するところで、ゲイだとか枯れた恋云々をフューチャーするのではなく、「繋がり」でクローズアップする企画にすることにした、となったところ。
映画全体のテーマでもある誰かとの「繋がり」、私が1番腑に落ちた話だったので、出来れば映画でも入れてほしかったな。

夏月の最後のセリフもこの「繋がり」。

演者のファンだけでなく、本当に多くの人に、映画も原作も知ってほしい作品だと思っています。
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