べに

柘榴坂の仇討のべにのレビュー・感想・評価

柘榴坂の仇討(2014年製作の映画)
3.1
教科書のせいか、教えてくれた先生の好みか、「桜田門外の変」からの「井伊直弼」はどうしても悪人要素のが強かったけれど、
先の分からない中、誰が正しいとかなかったんだろうな。それでもこの時代は意見が違うと相手を成敗してしまう。井伊直弼もそんな時代の悲劇のヒーローの一人な気がする。
広い視野と穏やかな心を持っていて、近くの人に慕われていた直弼の姿が、歌舞伎の「井伊大老」と同じように描かれていて新鮮。

その姿に触れたがゆえに、明治の時代になっても仇討ちに囚われて生きる主人公。
あまり共感できる人物ではなかったけど、役としては中井貴一はこういうのが似合いますね。

しかし、あの大事件の表舞台の当事者でない人(事件の当事者であるけれど教科書には名前の出ない人々)の生活、人生観、
当たり前だけどそれぞれにあるのだよな、と思いました。
哀しいわけでもないけど、納得もしてないけど、遣る瀬無い気持ちもありつつ、と。
腑に落ちた、とか、ハッピーな気持ちにもなれず、う〜んって感じかな。
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