しん

正欲のしんのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

自分の努力ではどうにもならない生きづらさを抱えている人、生きづらさを克服するには生まれ変わるしか手段が無い人、絶対に観てください。
観る前と観た後では、少なからず心の重さが変わっていると思います。

砂漠の中から砂金を探すように同じ星の人間を探す日々だから、生きづらさをこんなに丁寧に言語化してくれる作品に出会えたこと自体嬉しくて、観るだけで存在を肯定されたような気分になりました。

「生き延びるために、手を組みませんか」
こんなに切実な言葉がありますか。

結婚は"ふつう"の人からしたら幸せの象徴かもしれないけれど、彼らにとっては生きていくための生存戦略でしかなくて、ふつうの人間に擬態するにはそれが手っ取り早くて。
うまく擬態できていたんだ、と分かった時の夏月の嬉しさが本当によく分かるので、徐々に下降していく終盤が本当に辛かった。

ただ、結婚する前とした後とで明確に違うのは一人ではないということ。
同じ星の人間がそばにいる、というだけで人は救われるよね。

たまたまマジョリティだっただけの人間が、理解の範疇を超えたマイノリティを淘汰したい理由ってなんなのだろう。
法を犯していない人間が、生き辛さを感じないといけない理由ってなんなのだろう。

本作は色んなタイプの地獄が描かれているので、色んな地獄を覗き見たい人、是非観てみてください。

そして生き辛さを感じている人、すこし救われると思います。やさしい気持ちになりたい時観てみてくださいね。
しん

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