このレビューはネタバレを含みます
性的な表現は、定石として人間を含む生き物の雄雌が織りなす関係性を持って表現されてきたが、この作品における主人公は「水」なのである。滴る水。湧き出る水。様々な形に姿を変える水全てに表情を持たせた演出は見事。見ていて謎に惹き込まれる卑猥さに心を奪われる。
俳優部も見事。新垣結衣の世間が持つイメージから、ここまで芝居の幅を見せつけてくるとは。。。彼女の代表作になるのでは無いだろうか。東野絢香、初めましてだったがインパクト大。劇中で見せる八重子の背中で語る芝居はあっぱれのひと言。
稲垣吾郎に関しては、ああいう役がハマるのね。狂気すら感じるほどにリアリティに溢れていた。多数派代表な人間ってまさしくあんな感じだよな、、、良くも悪くも。
何が普通で何が異常かなんて、個人の自己中心的な物差しでしかない。自分の事を受け入れてくれる人って、意外といないのよね、この世の中。
鑑賞後、正欲というタイトルを考えた。
性欲を満たす→自分にとって正しい事を他人に理解して、受け入れて欲しい→正欲を満たす
これは生きとし生けるものにおける最大のテーマなんじゃなかろうか。
だからこそ、自分に「いなくならないよ。」と言ってくれる人の事は大事に。
あいにく、私にはいない。