Koichiro

正欲のKoichiroのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.3
音と映像が意外にも単調だったので、満足はできず…。だけど、稲垣吾郎演じる寺井啓喜と、新垣結衣演じる桐生夏月がはまっていて楽しめた。
磯村勇斗は表情で語る俳優さんだな、というのを確認できた、よかった。

『何者』とも共通して感じることだが、朝井リョウ作品は、映画になると一層「昭和を生きてた人間たちには決して分からないよな」と思わせる微妙な違和感が、見事に描かれている。特に、指輪をめぐる2人のやりとりはよかったな。映画化して加えられたシーンのようだけど、疎外されていると感じる者が「溶け込めた」と思える具体例を、はっきり表現していた。

嫌だった点は、寺井啓喜がはっきりマジョリティ=正常側の人間として描かれていたこと。ストーリーがわかりやすくなるけれど、彼にも性癖なり能力なりの凹凸があるところを、もう少し描いてくれたほうが現実味があったかと…。
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