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正欲のnobuのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.7
あらゆる要素においてボーダーレス化が急速に進む現代日本において、それぞれの生きづらさを抱えた人々が交差する作品。

以前までは「普通」とされなかった性的マイノリティに始まり、現代でも理解され難いフェティシズム、それらに対して以前まで「普通」とされていた家父長制や社会規範のステレオタイプが今日では「普通」ではなく理解されなくなっている。
これはつまり、誰かにとっての「普通」や「正しさ」が、誰かにとっては圧力や生きづらさへと繋がってしまうのかなと。

作品を見ると、稲垣吾郎演じる寺井の言動に不快感を覚えるが、フェティシズムを理解できない自分自身にも同時に気付かされる。
異性が恋愛対象でないなら、もしくは三十路で相手もいないなら「もしかしてゲイとか?」ではなく、自分の理解できない多様性に直面させられる体験であった。

ただ、途中の小児性愛については必要なかった、というか一緒くたにも捉えられてしまうような描き方は危険だと感じた。
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