らんまる

西部戦線異状なしのらんまるのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
5.0
「所詮、人間はただの駒」。
戦死した兵士から軍服や軍靴を剥ぎ取り、血を洗い流し、穴を塞ぎ、英雄になってやると目を輝かせる新兵の手に渡る。この軍服と同じように人間も使い回される。死んだら次、死んだら次。ただの駒だ。そう言われてるような気がしてならない。
開始早々そのことを嫌というほど思い知らされてまずそこで絶望する。

案の定目を背けたくなるシーンがたくさんあるが、時折兵士達の穏やかで楽しげな表情が見られるシーンがあり落差がエグイ。没入感がはんぱなくて西部戦線に放り込まれた気分。圧倒的緊張感。人間が人間の心を失っていく過程が見られる。

他のレビューにもあるけどラストの絶望と虚無感がすごい。
無能な将軍、無駄なプライド。よくよく考えたらこれ第一次世界大戦だよね?ヒトラー登場はこの後?一体この大戦で何を学んだ?過去から何も学ばず過ちを繰り返す。そこにも絶望と虚無感………

所詮人間は駒。ひとつひとつの命が軽視される。今までもこれからも。きっと変わらない。この映画、いろんな意味で地獄をみさせていただきました。原作も読んでみようかな。
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