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フェイブルマンズのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

映画とは芸術と科学に、生と死に、過去と現在に、実用性と無用性に、嘘と真実に、家族と孤独に、若しくは複数の宗教に、そしてリュミエール兄弟とエジソンに引き裂かれた存在だという事をなぞるプロット。決定的な瞬間に入ってくる光はそのまま映写機のように転換期を示す。
「あなたは誰よりも母親似」と言った妹が父親のような眼鏡をかけながら主人公と並んで画面に見入る瞬間
、もしくは母親の決定的瞬間を捉えたときのフィルムの切り貼りと家族を一人ずつ映す一連のシーン。家族と映画を重ねるからこそタイトルは複数である必要があったのだろう。
予告でも使われていた家族の車中シーンで、家族それぞれのカメラに対する動作が物語と同時に映画の語彙を翻訳しているのが凄かった。ホラー、鏡、反復、見返すレンズ。

だけど最後の十数分がそれまでを消し飛ばしてしまう程輪をかけてヤバい。壁のポスターからリンチによるジョン・フォードが入ってきて背筋がピンと伸びてしまった。そして最後のシーンで監督の言葉に倣って水平線が下になるようにカメラを少し上げるラスト。あのショットで映る主人公と駆け出しの頃のスピルバーグが完全に同調してすっかり打ちのめされてしまった。凄すぎ。
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