うかりシネマ

フェイブルマンズのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグの半生を下敷きに、青春時代の感情の機微を切り取った映画。
初めて観た映画に魅了されて自分でも撮り始めるも、知りたくなかった真実をもうカメラは捉えてしまう、芸術とは呪いである、という話もあるが、それらはメインではない。

映画撮影を父親に“趣味”だと理解されないがその父親も仕事で成功し続けて資産があり、母親の家系は芸術家を多く輩出している。とにかく生まれに恵まれているので失敗もなく、共感はできない。
友人との映画撮影やユダヤ人差別は面白かったし、家族も描けていると思うが、ドラマ的にも映画監督ものとしても劇的なことは起こらない。

家族を描きたかったのは分かるし充分に描けてるとは思うが、ラストで駆け足になる。青春については、特にプロムのラストは一番よかったが、この要素をメインに持ってきているわけではない。
ラストシーンでやりたかったことは分かるが、デビューで始まる(スピルバーグのフィルモグラフィーと合わせて円環になる)わけではないので中途半端。これを寓話とするのなら、ここだけ実在の人物が出てくるので抽象的に置き換えることもできず……。
いい映画ではあるが、スペクタクルはなく、恵まれた環境に共感はできず、小粒な作品。ただ撮りたいものを個人的に撮っただけ、という印象。