スピルバーグは映画の魔法使いみたいだ。
どういう加減で杖を振ると、観ている人がどんな気持ちになるのか、全部わかっているような。
撮って、切って、繋ぐ。
健やかなる時も病める時も、それをせずにはいられない宿命を持った少年の物語。
この先のエピローグが、E.T.でありインディジョーンズでありシンドラーのリストであることを私たちは知っているから、この小さな一家の物語が大きなメタ構造に感じられる。
ラストで巨匠と邂逅し、会話にもならない言葉を交わしたことが、彼の私的な世界がついには本物の映画界と接続した瞬間だったのだな。
個人的には、サミーに演技指導されたボーイスカウトが役に入り込んじゃうシーンがチャーミングで好き。
