モトメ

オールドピープルのモトメのネタバレレビュー・内容・結末

オールドピープル(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

掴み良し、序盤良し、中盤からジワジワとつまらなくなる残念ホラー。

序盤の老人ホームのシーンや、随所で顔を見せる老人たちの不気味な雰囲気はゾクゾクと期待感を煽ってくれるものの、中盤からは溜めがあまりにも長すぎてダレていき、そのくせ期待を下回りながら何も起こらないため、ワンアイデアのギミック不足が露呈していく。

主人公(?)はひたすら喚いて周囲を危険に晒すしか能がないため、早く死んでほしいと願うほかない。最終的に死んでくれるが、溜飲は下がりきらない中途半端な形。老人たちの孤独と怒りという社会的な面も見せているが、掘り下げがこれまた中途半端であり、その暴走老人たちの脅威も襲われるんだか襲われないんだか中途半端すぎて脚本の都合で動いているとしか思えず、元夫との関係も最終的に何にも結実しない。何もかも中途半端な、「ゾンビを老人に置き換えたら面白いかも」なワンアイデア以上の物を何も生み出せなかった残念な中途半端映画。

しかしながら、中盤以降で唯一良かった点はラスト。
逃げ切った先の浜辺で不意に現れる、死んでしまったと思しき孫を抱えて悲嘆にくれる老婆の姿。彼女もまた老いの孤独と怒りに打ち勝ち、愛する者のために守り手となった老人なのか。あの老婆にもきっと物語があったのだろうと思わせてくれる、秀逸な一瞬のシーンである。
その一瞬の哀しみが、直後の愛の到着と表裏一体になることにより、色々不満はありすぎるものの不思議と視聴後の感じは悪くない。謎の存在感を放ちすぎるドレス老婆も居たし、もしかして意外と悪くない映画だったのではとまで思わせてくれる。いややっぱりダメだけど。

アイデア自体は面白いので、もしも続編が決まったら、脚本家を変えて予算を大幅に増やしてあげれば、傑作になりそうな予感がなくもない。
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