おにくちゃん

その道の向こうにのおにくちゃんのレビュー・感想・評価

その道の向こうに(2022年製作の映画)
4.1
物語の内容に全て意味が無いようで、
全てに意味がある不思議な映画。
個人的にこういう雰囲気の会話劇が好きなのでストライクだった。
配給はA24。
画の質感が良いのはいつもの事。
こういう映画は良さを文章にするのが難しい。

これは恋とか性別とか人種とか職業とか関係のない定義付けされていない特別な愛の話。
形もないから手探りで脆く、何気ない言葉で崩れてしまう。
人生は後悔の連続だし、触れてほしくない過去もある。
触れられたく無いけど誰かと共有して気持を楽にしたい感情もある。
同情が欲しいわけでは無い。

何もかもが違う二人が、何がかはわから無い感情のまま惹かれ合う。
独りでは出来ない事はいっぱいある。
でも誰かがいれば少なくとも朝起きた時に一緒にコーヒーを飲みながら会話ができる。
これって本当に幸せな事だと思う。

今年観た中では「カモンカモン」を観た後の充実感に近い。
じんわり良い映画だった。