nico

ランユー 4Kリマスター版のnicoのレビュー・感想・評価

ランユー 4Kリマスター版(2001年製作の映画)
-
とにかく画面が斜め斜め斜め
色と角度が王家衛を彷彿とさせた。音声、カメラも大胆にカットしており編集が面白い。画面の8割を壁やドアなどの障害物で占め2割で人物を映す手法が印象的。
若い美青年の死によって締めくくられる結末は逃げたな、急いだな、と思うしかないが、それまではテンポよく商業映画らしく進んでいたと思う。ヨーロッパとアジアの男性同性愛映画はどう違うかと考えたとき、後者の熱さが真っ先に思い浮かんだ。今作品も男同士のむさ苦しい必死の熱さがあり、裕福なパトロンと苦学生の愛というシンプルな2000年初頭らしい社会の描かれ方。恐らくここまでフラットな同性愛をストレスレスに描くような映画は、良い意味で今はもう作れないんじゃないかとも思う。

観客は中華圏からの若いひとが多く、珍しく夜のシアターが殆ど埋まっていた。同年代の他者と共に集団となってエンタメを観ることは、それがいい映画かどうかは置いといて、映画体験としてやはり楽しい。
nico

nico