たらお

銀河鉄道の父のたらおのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)
3.5
宮沢賢治がどのようにして誕生したのかを描いた一作。
鉄道のシーンから始まる導入がたまらなく好きです。
また「父」とタイトルにあるように父、政次郎さんがもう一人の主人公でもあったり。
家族の絆、心の繋がりをしかと描いていました。
妹のトシ子さんは勿論の事、見守ってくれていた家族の支えがあったから賢治は作家として花を咲かすことが出来たんですよね。

賢治が自分の進みたい道を見つけるまでの苦悩、奇行に痛ましさを感じましたが、答えを見つけ、歩み始めた時はひたすら応援したくなりました。
結末をわかっていても幸せになって欲しい、作家として大成してほしいと願ってやみませんでした。
菅田将暉さんの演技と役作りのお力もあるんでしょうけどね。
(病人としての手の白さ、か細さが……)

作中で引用された作品は下記の通り
「風の又三郎」
「永訣の朝」
「雨ニモマケズ」
「銀河鉄道の夜」
永訣の朝は賢治の最愛の妹であるトシ子さんへの贈り物である詩なので外せないとは思っていましたが、流れた時はほろりと涙がこぼれました。
一番の理解者であり、作家になった理由ですから……
銀河鉄道はクライマックスでここぞというシーンで使われましたが、あの演出だけで観て良かったと思いました。
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