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山女のhrt2308のレビュー・感想・評価

山女(2022年製作の映画)
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シアター2

18世紀後半、江戸時代、飢饉に襲われた山村が舞台。

先祖の犯した罪により田畑を取り上げられて以来、村人から蔑みを受けながら「汚れ仕事」で生活してきた凛(山田杏奈)の一家。ある日、米を盗んだ父・伊兵衛(永瀬正敏)の罪を被り、凛は山神様の祠を越え山奥へ入っていく、、、。

物語は不条理に満ちている。飢饉という厳しい現実を前に、自分たちが生きていくために赤子を川に流すといった手段を選ばざるを得ない絶望感。閉ざされた世界に生きる村人たちが神がかりや言い伝えに否応なく傾倒していく。

村を離れ、山男(森山未來)と暮らすようになった凛は本来の明るさを取り戻す。ほっとした一瞬、凛は村に連れ戻される。そして村人たちの不合理をすべてを受け入れる。なんという潔さ。と言うか凛は村人を哀れんだのかもしれない。まるでキリストだ。

自然は人間の過ちを一気に消し去ってしまう。

人間は弱い生き物だ。
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