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aftersun/アフターサンのemuのネタバレレビュー・内容・結末

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

太陽の光、父の手のぬくもり。あたたかさの内側にある寂しさと哀しみ。あの真っ暗な海はアケルマンの「囚われの女」を彷彿させた。楽しい時間が過ぎ去ったあとになにかまた一つ、自分のなかから大事なものを失ってしまったような喪失感。それは時間だったり言葉だったり、記憶だったりする。身を護る方法を真剣にレクチャーしてくれた父、あの時一緒に歌ってくれなかった父、ダンスが好きだった父。あの時言えなかったもの、見えなかったもの、忘れてかけていたもの、そして今はもう忘れてしまったもの。それら全てが記憶であり愛なんだなと。観ている最中はわからなかったことが、観終わった今色んなことに気づいて思いを巡らせているこの感覚が、まさにこの作品そのものであるようで。人の孤独はいつだってその人のものでしかないということを気づかせてくれる映画というものが、私はとても好きです。
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