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aftersun/アフターサンのIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.8
おわーっ!これはまたある意味凄い映画がぶち込まれました!娘とその父親によるメモリアル旅行の映画。娘を持つ父親からしたら、大変感慨深い映画ではないでしょうか。でも、あまりにも情緒的な映画なので、観る人を選びそう。まず一般ウケはしないだろう。
11歳の娘側と31歳の父親側、両方の視点で映画が構成されてますが、正直娘さんの気持ちは表面的にしか分からなかったです。例えば、どんな気持ちで接吻してるのかおっさんには皆目分からん!でも、父親目線はよく分かりました。
11歳の女の子というと、反抗期前で、まだ純粋な子供ながらも少しづつ大人を理解し始めている時期かと思う。で、父親の方は、これからどんどん娘が大人に向かって成長していく事を考えると、自然と自分との距離も広がっていくのだろうと想像するし、むしろそうあるべきだと心のどこかで思っているに違いない。それでも父親からしたら、11歳の娘はまだまだ子供らしくて可愛い時期だし、その可愛い娘がやっぱりどこか心配で、それこそ日焼けさえ心配で、時間通りに日焼け止めを塗ってあげたくなるし、なんか無理やりでも一緒に遊びたくなる。とはいえ、親も子離れしないといけないし、いつまでも一緒にいるわけにはいかないので、自分の身は自分で守れるようになって欲しいし、もしなにかあればどんな悩みでもいいから相談して欲しいと願う。そういう父親の気持ちや感覚は万国共通なのだろう。映画を観ながら「分かるはー」って思って、最後の空港でのシーンでは、こちらも完全にパパ目線になってるから、カメラ越しの娘さんがとても可愛くて、逆に切なくなりました。子供の成長は嬉しい反面寂しくもあるけど、それは仕方がないしお互い必要なことなのだと思う。ちなみに映画のように31歳くらいのパパなら、人間的にはまだまだ未熟な部分も多いだろう。
娘側の視点で映画を観ると、多分、また観え方や捉え方も変わるのかも知れない。もし両方の視点でこの映画を鑑賞できたなら、物語よりも感情や内面を映像化した素晴らしい傑作映画だと思えるに違いない。(あ、映像もなかなか良かったです。)
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