眩い青とあまりに深い黒。
ため息が出る。人の記憶というものを映像という手段でこんなにもリアルに、ダイレクトに表現できるのか。
映画と言うよりは映像作品と言った方がしっくりくるかも知れない。
ストーリーは有って無いようなもので、勿論いわゆる映画的なポイントも多く散りばめられているから、最初はそれらを拾い集めようとしながら鑑賞するんだけど、あのカメラを回しっぱなしにしながらの鏡越しのシーンあたりで、いや、そういう事じゃないと気付かされる。
これは"単なる記録と記憶"。
断片的に現れるそれらの行間を、鑑賞者自身の記憶や感情で埋めさせてくれる。そこに鑑賞者への信頼を感じた。
懐かしさと苦しさと危うさが混ぜこぜになった、これまでのどれとも違う鑑賞後感でヒリヒリする。この感覚に効くaftersunが必要!