今年も始まったばかりですが、2024年ベスト級かもしれません。
大人になり切れていない父親と、大人になりたい娘のひと夏の思い出を描いた作品です。1回目の鑑賞では何気なく見ていたシーンも、2回目の鑑賞では捉え方が変わります。鑑賞後に振り返ると、あの行動も、あの瞬間も、あの表情も、と矢継ぎ早にその時の真意が読み取れてズキズキと自分に刺さる作品でした。
父親の年齢に近づいてきている自分は、どうしても彼の気持ちに寄り添ってしまいます。ふとした瞬間に彼のような心模様になってしまう時もあるので、見る時期によっては自分に大きな影響を与えそうな映画だとも思いました。
決定的な出来事や説明を映画の中で語らず、余白が沢山ある作品なので観客の想像で補う必要があり、そういう意味では観客に優しくなく、受動的に感動できる映画ではありません。解釈の幅があり、登場人物たちのバックボーンに思いを馳せる映画が好きな人にはおすすめの作品です。
