燦々と照りつける太陽。奇妙な踊り。背中に触れる大きな手と、ゆらゆら揺れる波の色。
もう二度と会えない人。
もう二度と過ごすことのできない日々。
あの頃、何気ないように思えた言葉も、些細に思えた出来事も、きっとその全てが、自分が思っていた何百倍も尊くて、どこまでも優しく繊細な父の心を蝕んでいたのだろう。
ソフィがビデオカメラ片手に巡る「記憶と記録の狭間の旅」は、彼女に何をもたらし、僕らに何を語りかけているのだろう。
この作品を観るのは今回が二度目で、でも、一度目の時と同じく曖昧な部分は曖昧なまま。なにか自分の中で今作に対しての明確な答えが見つかったわけでもないし、今作を大好きだと思う確固たる理由を発見できたわけでもない。
だけど多分それでいいんだと思う。
曖昧なまま、過ぎ去った父の面影を辿る。
後悔の渦の中を独りでに。
どこまでも悲しく美しい物語。大好きです。
