このレビューはネタバレを含みます
30歳のお父さんと11歳の娘ちゃんの夏のバカンスのお話ですが、何だかすごくリアルで、自分にも覚えがあるような夏のひとときが描かれていて、切なくなってくる
また、楽しい旅行でもあるけど、ちょいちょいトラブルがあったり、楽しいことと退屈なこと、ちょっとケンカ、でも仲良しの親子…
という風に見えるんですが
でも、少しずつの不穏さ、父につきまとう不吉な気配がじわじわと気になってたまらなくて、
特に上下の服が黒のお父さんが、まっすぐに海に入っていってしまうところ
あのまま帰ってこないのかと思っていた
そう考えると、お金にどこか困ってそうなのに、高価なじゅうたんを買ったり、ケガをしてるのにバカンスに来ていたり、娘ちゃんのことをこれでもかと構ってあげて、すごくいいお父さんで…
でも、カラオケを歌ったり、誕生日を祝われたりするのをしんどそうにしてるのって“そういうこと”なのかもと思う
最後に娘ちゃんを見送ったお父さんは、誰もいない廊下を歩いて、ディスコ会場のようなところへ入っていった
そして現在の娘ちゃんは、お父さんがあの日に買っていたじゅうたんを持っていて、ビデオを観返している
お父さんはあれからどうなったのかは、明確な解答がない、娘さんの様子から推し量るしかない、でもそれよりは、あの夏のひとときは素晴らしかったよねって寄り添いたくなる、そんな映画でした
