ひらがな

aftersun/アフターサンのひらがなのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
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忘れられない、素晴らしいラストカットだった。
観客の想像力や、映画を慮る力を信じてくれていると感じた。観ている我々に安心して委ねてくれている、心地よく心の通う感覚。

私は親ではない。子供だったことはもちろんあるけど、父親に愛された記憶はあまり無い。境遇が近いのは、ポールメスカルが演じる父親の年齢、人生の葛藤、毎日の辛さ、鬱、何のために生きるのか、愛している人と幸せに過ごしたい気持ち。

ソフィも、監督も、ヒリヒリとした日焼けの痛みが少しでも和らいで欲しい。でも、痛みが残るのも悪いことではないよね。痛みを抱きしめられるまでにはきっと何年も、何十年もかかること。大人になるって、憧れるけど、自分で処理し切れない辛さが次々に襲ってきて、押しつぶされそうになる。

残された者の痛みは分からない。消えてしまったあなたには分からない。
少なからずお父さんには解放されていてほしい。選択が間違って居たとも思えない。どうしても自分と重ねてしまう。誰にも邪魔されないところで、自由に怖がらずに、いられますように。