みちゃまる

葬送のカーネーションのみちゃまるのネタバレレビュー・内容・結末

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トルコ南東部。亡き妻の亡骸を故郷に葬るため、祖父のムサと孫娘のハリメは棺桶を担ぎ、荒野をひたすら歩き続ける。目指す故郷は未だ紛争が続いており、紛争で家族を亡くしたハリメは気が進まないが、仕方なく祖父の後をついていく。2人が旅路の果てに辿り着いた先とは。

台詞は殆どなく、聞こえてくるのは2人の足音と、荒涼とした大地の風や火が燃える音。ハリメの傷付いた手などから、戦況はかなり厳しい状況であったことが想像出来る。途中に2人の見た夢の世界?も挿まれ、夢と現実が入り混じり、不思議な感覚を覚える。ラストで越境した祖父が見たのは幸せな幻か。爆竹に紛れて銃声のようにも聞こえたので、そういうことなんでしょうか。途中出会ったトラックの女性や、ラジオから流れてくる言葉の一つ一つが物語に深みを持たせている。
決して多くを語らずとも、祖父と孫娘の思いや生と死、生きる意味について感じ取ることが出来ると思う。鑑賞した後に公式サイトを見てみると、より理解が深まると思います。
静かな余韻の残る、素敵な作品でした。
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