【第78回ヴェネツィア映画祭 アウト・オブ・コンペティション】
ツァイ・ミンリャン監督の短編ドキュメンタリー。東京国際映画祭で上映予定だけど行けなさそうなのでMUBIで鑑賞。
最近は実験映画に完全にいってしまった、かにみえて『日子』という傑作をつくってくれたりと鬼才の名に恥じないツァイ・ミンリャン。本作も固定カメラで銅鑼湾の街外れをただ映しただけの実験的作品ではある。
しかしそこに香港民主化デモの痕跡が浮かび上がってきたり、なによりミンリャンの映像の力が半端ではない。ミンリャンは何も変化がないように見えてしっかりと興味深い動き、ドラマを切り取っている。車を捕まえようとするが全然捕まらないおばちゃんたち、車道を容赦なく横切る歩行者たち…
原題は「良夜不能留」、つまり「美しい夜は留めることができない」という意味。最後の歌からとられているが、ミンリャンが香港、ひいては民主化デモにどのような心境を寄せているかは明白だろう。