倦怠夫婦の物語が展開する場所に遺跡を選ぶ秀逸さよ。
しかもそれがポンペイであると。つまり、「生きたまま死んでいる人」たちの場所。カタコンベもしかり。
ここにもやはり"死"がある。愛の話をするのに、死のモチーフは避けられないのだ。
特に、ポンペイの遺跡で抱き合ったまま死んだ夫婦の発掘をバーグマンは我慢できずに目を逸らす場面は見事としか言いようがない。
彼らはそこに自らの姿を見出し、省みる。
しかしラスト数分の、観ているこちら側の「おいダンナ!早く気づいてやれや!」のモヤモヤはすごい (その分、"スカッと"する振れ幅も大きいのだが。そのへんもウマい)。