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アイアム・ア・コメディアンのMALPASOのレビュー・感想・評価

3.1
映画『アイ・アム・コメディアン』

テレビではとんと見なくなった印象の漫才コンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔の3年間を追ったドキュメンタリー。

作品に関してというより、村本大輔に関してになってしまう。
ネットやテレビで政治的な発言が多く炎上する事が多かった村本。
このドキュメンタリーでは、そのことが原因でテレビから消えたと描かれているが、テレビがオファーしないのは、それだけではないと思う。今のテレビは予想できない発言をする者を嫌う。録画なら編集すればいいのだけど、余計な打ち合わせや内容に検閲を入れなきゃいけない面倒も避けたいだろう。みんなドライで、1人1人と深く向き合う演出やプロデューサーも減ったと思う。

そんな彼の、年間約600ステージも行っているお笑いライブ、アメリカに渡り「スタンダップコメディ」に挑戦する姿、慈善活動の様子などが映し出される。母親と父親も登場する。
演者にとって、テレビはPRの場所、CMに出たり、ステージで人を集めるのが儲ける方法。大ヒットするものは、多数の人気を得なくてはいけない。そうすると、誰もに嫌われない、ノンポリな道を選びしかない。アメリカのコメディアンは人口も多く、英語なので他国のファンもいる。一定数嫌われても、多数のファンを維持できる。大きく違うのは、犯罪を犯したり、炎上しても、日本ほど打撃を受けない。ネタにもできる。
村本にやり方は、アメリカのほうが合っている。映画では、もう少しアメリカの生活や仕事を観たかった。次回第2段でぜひ。

業界へのアプローチの仕方が違うが、今最もアメリカで日本人のスタンダップ・コメディアンとして活躍するサク・ヤナガワ。彼の話、あらゆる毎日新聞を読み、ニュースをチェックしている。さらに大学時代から社会学や政治を勉強しており、笑いのギリギリを攻めるための努力を欠かさない。誰かを怒らせて下手すりゃ殺されるかもしれない。話を聞いて、スタンダップ・コメディアンは大変な仕事だなと感じた。スターになったスタンダップ・コメディアンが知的なのはそういう理由だろう。

応援したい。
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