木蘭

DOOR デジタルリマスター版の木蘭のレビュー・感想・評価

DOOR デジタルリマスター版(1988年製作の映画)
2.8
 高橋惠子の妖艶な美とエロティズムだけで1時間半持たせた作品。

 制作会社の創立者だった長谷川和彦監督が、舞台挨拶で「何でもっとエロにいかなかったんだ。」と突っ込んでいたらしいが、その通り・・・。
 ロマンポルノ系と80年代のスラッシャームービーが混ざった味わいなのだが、こういう感じのサスペンス、当時の二時間ドラマとかでやっていたよなぁ・・・と懐かしく鑑賞。

 名簿屋から個人情報が流出して営業に使われている不安とか、集合住宅の過干渉と同時に無関心とか、主婦へのエロ電話とか・・・1988年当時の社会で共有していた不安要素を盛り込んでいるのは分かるのだが、ネットは勿論、携帯電話からデジカメ、電話番号表示、監視カメラといった物も皆無なインフラ前提で物語が進むので、35年後の人間からするとヒロインの立ち振る舞いやサスペンスに今一つピンと来ない所がある。
 とは言え、こんなの当時だって事件化して、開始30分で即検挙だよ!という脚本の粗はあるよ。
 変態さんも昭和の香りがするよな・・・と懐かしくも思うのだが。

 後半、いよいよストーカーが侵入してくるのだが、なかなか盛り上がると盛り下がる展開とか、逃げられない状況を作っている訳でもないので、何故逃げぬ?とか、さっさと警察呼べ!とか突っ込みどころ満載。しょぼいチェーンソーとフォークで戦うシーンは失笑・・・。

 35年前の作品を観ながら、映し出される光景を眺めると、日本があれから肩パットが消える以外、余り発展していないのが分かって悲しくなった。
木蘭

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