2022年第35回中国金鶏奬で最優秀主演男優賞と新人監督賞の2部門を受賞した作品。涙溢れるヒューマンドラマ。
武漢出身の人気俳優・朱一龍(チュー・イーロン)と子役の新人・楊恩佑(ヤン・エンヨウ)2人の素晴らしい演技に尽きる。
武漢で家業の葬儀屋「上天堂」を営むモー・サンメイは、刑務所帰りで父親には疎まれ、彼女には浮気された上に逃げられ、行き場のない人生を自堕落に暮らしている。ある日老女の死に立ち会い、そこで出会った少女ウー・シャオウェンを成り行きで預かることになってしまう。少女もまた両親と祖母に先立たれ、叔母には厄介者扱いにされ行き場がなかった。最初はおばあちゃんに会いたがるシャオウェンに手を焼くが、次第に情が生まれ、お互いが大切な存在になっていくのだが、、、
坊主頭に柄シャツ、ガラの悪い佇まいのサンメイが如何にいい加減に生きているかが一目瞭然。シャオウェンも何をしでかすかわからない面倒そうな女の子。そんな2人が一緒に暮らすうちに次第に家族のような愛情が湧いてくる。サンメイが変わっていく様子をチュー・イーロンが立ち振る舞いだけでなく、シャオウェンを見る目や接する姿まで丁寧に演じていて素晴らしい。
最初は睨みつけるような目が印象的だった女の子シャオウェンも、次第に笑顔が可愛い、愛らしい少女になっていく。とにかく泣きの演技はお見事。
頑固だけど息子を想う父の親心。サンメイの父親役の俳優さんも良かった。おばあちゃんを一途に思う少女シャオウェンの姿が可哀想で仕方ない。そんな血の繋がりの愛と同じくらい、次第に大切な存在になっていく赤の他人の2人がある人の登場で引き離されそうになってしまうが、、、
ありきたりの展開、特別な大事件もなく、出てくる人は皆温かくて良い人ばかり。それなのに、こんなに泣けて感動できるのは何故だろう。
大好きな中国映画、良い作品に出会えた。
フォロワーさんののんchanのレビューで鑑賞しました。有難うございます。