イッソン

こんにちは、母さんのイッソンのレビュー・感想・評価

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
4.1
大泉洋がいいですね。この人の哀感とユーモアは貴重です。役者として油がのってきたところではないでしょうか。次の作品が楽しみです。

そして吉永小百合。
いろいろな感想があると思いますが、やはり美しい。空色の着物姿が良かった。
しかし、お母さんという感じがあるかと言われると、ちょっと物足りないでしょうか。
でもこんなお母さんがいたら息子はどこか嬉しいかも。少しだらしなくなってお酒を飲む吉永小百合は必見。

宮藤官九郎は配役として意外でした。
やや滑舌が悪い感じが一瞬不安になりました。脚本家としての彼が好きなので俳優としてはどうなのかと心配になりました。
しかし、はじめの印象は良くないのですが、だんだんと親しみが湧いてくる。結局のところ、この配役で良かったんだと納得。

永野芽郁。祖母の姿から何かを感じとり変わっていく。祖母は言葉では伝えられないことを教えてくれる。前半は設定年齢の大学生より老けて見える。
そして足袋の寸法をはかるために足を包むように触るシーンがドキドキします。何んだかくすぐったくて恥ずかしいというセリフで若さを感じました。

田中泯、面白い。この人が隅田川を背景に語る時の音がインド風のような弦楽器のメロディでした。悟った賢者のようにも見える。
実際に東京大空襲の日に生まれた彼が、過去を物語る。どこかたくましく味わい深い。田中泯には無法松の一生のような物語が似合うと妄想させてくれます。

千住真理子のヴァイオリン、そしてコンサートのシーンで客席にいた千住明の音楽もこの映画にふさわしく楽しめました。