イッソン

ニジンスキーのイッソンのレビュー・感想・評価

ニジンスキー(1979年製作の映画)
3.6


高校生の私はこの映画を新宿まで観に行きました。シネマスクウェア東急。客席は女性たちで満員だった。

薔薇の精の踊りが好きだった。あれはニジンスキーの中でも一番わかりやすい。

まあ、本物のニジンスキーは小柄で、超なで肩、脚の筋肉の盛り上がりはスケート選手のようである。顔は何とも中性的で役によって千変万化なのだ。まさに踊る神。

それを再現しようというのだから、高まった期待が、多少しぼんでしまうのは仕方ない。

いや、でも当時の劇場の感じとかファッションとか面白い。さらに「牧神の午後」となると、幕切れの艶めかしい動きにびっくりしてしまう。
それから「春の祭典」の稽古のシーンでストラヴィンスキーのピアノ弾く姿とか、「遊戯」とか、写真でしか見たことがないバレエが再現されるのは貴重です。

今ごろジャニーズの問題で、明るみに出た男性から男性へのセクハラ(枕営業)が、実はずっと昔から慣習化していたという事実。そんな中から生まれた名作の数々。

せつない出来事と戦争による狂乱の中、ニジンスキーは踊った!彼の精神が錯乱する日記を読んだ人は、この映画で、そこが描かれていない不満を感じるだろうか。
あの怖い日記は、ぜひ一読していただきたい。

少年のようなジョルジュ・デ・ラ・ペーニャはよくやっていると思う。バリシニコフでは違うでしょう。彼は男性的なダンサーで、バラの精を踊ったこともあるが、姿はミスマッチだった。