一旦、「宗教はカルトである」と言ったら見晴らしがよくなりますかね。的なレビューは皆さんに譲りまして、映像がすごかった。セリーヌシアマの『燃ゆる女の肖像』のような透明感とは違いますが、まさに絵画。衣装やそれを身につけた演者の姿かたちその造形センス。青いエヴと黒くて大きな冷蔵庫みたいな修道女との対比とか、彼女と対峙する村の長老たちの並びとか屋内のローソクの光に艶る壁などは油絵のようでもあり、とてもシンボリックに燃える家は、タルコフスキーのサクリファイスオマージュ？いずれにしてもやや過剰な美術感はこの映画のメタ構造に通じているのでしょうか。宗教的児童虐待問題をここまでシンプルに普遍的な問題として向き合った作品ははじめて観た気がします。このへんの時代設定の映画で泥だらけのスカートの裾もはじめて観たかも。
