jellyfish

聖なる証のjellyfishのレビュー・感想・評価

聖なる証(2022年製作の映画)
3.6
朝起きて夜眠る。
“1日”を生きるのにとてつもない労力がいる時代・土地のお話し
“生きる”こと自体が辛く厳しいとき、人は信仰に救いを求め、拠り所にする。
現代に生きる私たちには想像もできないくらい、生活に信仰が深く根付いている人々。

奇跡の名の元に少女の餓死を望む聖職者
罰の名の元に少女の救済を望む母親
医療の名の元に少女を救いたい看護師

そして、
全体(信仰や村)の利益・体裁を気にする男(司祭・医者)
個人(少女)を見る女(母親・看護師)

いろいろな“視点”がある。
どの視点も間違っていないことが物語に深みを出している。
確かに、男達の視点は現代的に見れば間違っている。しかし、厳しい時代に生きる彼らが信仰に頼らないといけないことも分かる。
そう言った厚い信仰心を理解した上で、それでも、少女を助けたいと、宗教と男たちに挑む看護師もまた、ある種の“祈り”によって平穏を得ていると言う矛盾。

ラスト、ある修道女が発する“天使”や“新世界”と言う言葉。その言葉に込めた修道女の願いは、信仰によって生きる者の生きずらさや絶望のようなものを表しているような気がした。

ここから先ネタバレ!
あの一家は大飢饉の時、兄を殺して食べたのかと最初思いました。
あの夫妻ももしかしたら兄妹…?
どちらにせよ、あの荒涼とした灰色の地で生きるには、相当な覚悟が必要だったんだと思いました。
jellyfish

jellyfish