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梟ーフクロウーのスワットのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
3.8
2024年劇場鑑賞20本目 字幕鑑賞
“朝鮮王朝時代に国王の息子が怪死した”状況を表した朝鮮王朝実録の一文を基に、そこに創作上の”盲目の鍼医”というフィクション要素を掛け合わせて制作された韓国時代劇のサスペンススリラー作品。

盲目の鍼医ギョンスはリュ・ジョンヨル、仁祖国王はユ・ヘジン、チェ・ムソン、キム・ソンチョル等。
監督・脚本共にアン・テジンが担当している。

本国で公開された2023年の韓国映画にて25冠を獲得しているらしく、日本で公開された際も、公開館が少ないながらも口コミでかなり評判が良く、そんな中観れる機会がありハードル高めで鑑賞しました。

設定・ストーリー共に序盤から引き込まれるものがあり、すぐに世界観にのめり込んでしまった作品でした。
終盤もどんでん返しからのどんでん返しの応酬で息つく暇もない事は確かです。
意外にもエンタメ寄りの作品で、劇中BGMもコメディ調・シリアス調・クライマックス調と観客の感情を左右する演出が多く、気を張らずに鑑賞できた事も楽しめた要因です。
ポスターの雰囲気やタイトルから、真面目時代劇かと思わされたのが良い意味で期待を裏切られました。

ただ、タイトル『梟』の意味が分かった瞬間、少し自分の中で熱量が冷めてしまった事も事実でした。
個人的な好みではあるのですが、ギョンスが明かりがあるとハッキリ見えず、暗闇になると鮮明に目が見える”昼盲症”というのは少しガッカリ。
序盤の音だけで周りを圧倒するシーンが素晴らしかっただけにこのまま突き進んでいった物語が観たかったなぁと…
宮廷医として配属された日に周囲の音だけで空間を把握していくチートな能力、研ぎ澄まされた視覚以外の五感で他者を圧倒していくギョンスに心踊った私からするとキャラクターの魅力が半減してしまいました。
しかしそこまでチートだとアニメ調になってしまうか…と考えてしまい…。
中々評価の塩梅が難しい設定です。

物語として大団円とまではいかないのも、韓国映画ならではの纏め方で上映終了後まで余韻を感じていました。
やはり韓国映画は世界水準のレベルがポンポン出てくると再認識した作品でした。

因みに実際の文書に記されている状況からして、ソヒョン世子を毒殺したのは映画内同様、国王が濃厚な様です。
歴史って残酷ですね。
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