くろのす

猿の惑星/キングダムのくろのすのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
4.0
シーザーが切り拓いた初代猿の惑星まで続く長い過渡期の世界。前三部作の視聴は絶対に必要であり、印象的なシンボルマークが映るたびにシーザーの掲げた人間との共存とかけ離れた今作の混迷を極めた世界観が悲しい。テクノロジーが若干残った世界というのが妙にそれっぽいんですよね。まだ全然言葉が喋れる人間もいるバランスが、いずれ来る両種族の激しい対立を想起させられる。


とまぁ、ありがちな感想に終始しそうなのですが、今回はそれだけじゃない。というか、猿の惑星云々以上に個人的にどうしても気になっている事なので早めにチェック。(猿の惑星云々で言うならやっぱ前三部作がとてつもなく面白かったし、人類の進化をなぞったシーザーたち猿の進歩が非常に知的で見ているだけでも刺激を受けたので、まだまだこんなもんじゃないはず)

前三部作のファンなので見たというのもありますが、今回メガホンを取ったウェスボール監督が『ゼルダの伝説』実写版を撮るというのが最大の関心。ゼルダやれんのか!?という疑念を払拭するために見にきたという人は絶対に自分だけじゃないはず…!

大きな不安を抱えていましたがしかし、冒頭〜中盤までかなり長い尺を取った世界を歩き回るノア・ラカ・メイの旅路を見てこの人ならゼルダ実写大丈夫じゃん!という思いが強まった。
崩れたビルを即興で鉄筋を駆使し登り卵を獲得するopパート、村の鳥が飼われた塔で繰り広げられるアクション(ちょっとQTEっぽかった)、馬に乗り見知らぬ土地へ旅立った時のスケール感、しっかりと知性を持ちつつも我欲が強く卑近なガノンドルフっぽい敵…etc。
正直、監督の過去作品『メイズランナー』でゼルダやりますと言われたときは心底微妙というか、どう期待しろってたんだよというか…。ローメイ遺跡っぽいとかそういう単純な見方しろってか????なんて嫌味っぽく考えたのですが。
なんなら監督が「俺だってこれくらいやれっから!これ名刺代わりだから!ゼルダファンもとりあえず期待して待っとけよ!」と言ってるような。

「実写のゼルダはジブリのような作風に(意訳)」というコメントを残している監督ですが、こちらも今作を見て納得。
要するに「もののけ姫」のように村社会とそこからの旅立ち、新たな出会い、宿命といった王道の貴種流離譚をやるんでしょう。それでいて野生や自然に対して畏怖・敬意を表明し、またそうした感触を受け手に伝えたいと。となるとやっぱり「ブレワイ・ティアキン」がベースになるんでしょうか…?無難に「時オカ」「神トラ」でやるのかなと思ってましたが…いや本当にどうなるんでしょうかゼルダ実写……。

ゼルダの話が9割ですが、今作自体の続編も待ち遠しいです。
くろのす

くろのす