ねぎおSTOPWAR

ばけもの模様のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ばけもの模様(2007年製作の映画)
3.5
《勝手に石井裕也祭り》

井原西鶴
『人間はばけものだ』

これが冒頭に示され・・つまりは今作は『ばけもの』を描いた映画か。

登場するのは・・
《埼玉生まれのカルメン》順子:息子の死を受け入れられず迷走する
順子の夫:家にうんざりして不倫に走る
不倫相手の同僚:社内の<長>が付く男を渡り歩く
メロンパンマン:パン販売の着ぐるみ男で順子に恋して暴走する
メロンパン販売のおばちゃん:泰然自若

石井監督自身は自生する大麻を探す男として出演しています。

たぶん木更津、君津で撮影しています。
このあたりは土地も広いしでも海は近いしそんなに人もいないし、いいとこですよね。
なんだかこの映画の雰囲気にぴったりだと思います。


メロンパンの着ぐるみが度々登場するんですが、着ぐるみでダンスするのはいつもの桂都んぼ<桂米紫>さんです。出番は非常に多い役で、とても愉快です!!
おばちゃんとのやり取りのシーンはどれも楽しい!!とりわけドアを開け放してしょんべんしたあとの諸々はもう思わず苦笑です。食べたくねーーーっ!!

人の死を受けて生きる・・ってほとんどの人が経験することですよね。
親ではなく子が死ぬこと程辛いものはないと想像しますが、いったい自分ならどうなってしまうのだろう・・。

前作から<客観で撮る>(ご本人が示唆した言葉)ことを取り入れ始めた石井監督ですが、最たるのは不倫の旅館ですかね。
部屋で女将さんに「奥さんって言われちゃった・・💛」などと言っている画の次に「ありゃ絶対不倫だよ不倫不倫!」と階段を駆け下りる女将を入れるわけですからね。
このあたりは第1作第2作にはないです。物凄い熱量と主観的な表現の重ねから、いわゆるベタな表現も取り入れるようになってきたって理解かなと思いますが・・。