コラボ

あしたの少女のコラボのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
4.2
 高校に通うソヒは実習生として大企業の下請け企業で働くことになり、それはブラック企業だった。思いもよらぬノルマにソヒは次第に追い詰められていき、好きだったダンスもしなくなり学校と職場の板挟みで煩悶し死を選ぶ。日本でならさすがにあそこまでは、とも思うが本質は似ている。搾取する対象を変えているだけだ。大企業が請け負わない汚れ仕事をその下請け、孫請けの労働者たちが担い支えているのは同じ。自殺者が出ても会社は逆に悪い風説さえ流してもみ消し居直る。高校側も実態も知らず就業率を上げて補助金獲得に躍起になり生徒のことは二の次。そうした実態をペ・ドゥナ演じる刑事が追っていく。『ベイビーブローカー』に続いてクールな刑事役なので安心感がある。はじめは淡々と職務に従事していただけだった彼女も、ソヒの弱い立場を思って感情を露わにする。企業側も学校への追求もかわされ、地方官僚にも訴えるが何も変えることは出来ない。最後の場面ではダンスを自撮りしたソヒの動画を観ながら涙を流す。
 ペ・ドゥナ出演だから観に行ったが、ずしんと余韻を残した映画。