コラボ

関心領域のコラボのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.1
アウシュヴィッツ収容所に壁一枚隔てたところで営まれる普通の生活。収容所の所長ルドルフ・ヘス一家だ。休日は付近の河原で水遊びをしたり、祝宴を開いたり一見普通すぎる生活が怖い。映画では残虐な場面は視覚的にはないけれど、あちこちで悲鳴や怒声、拳銃の音が聞こえ「壁の向こう」の光景が想起させられる。ミカ・レヴィの音楽も呻き声のようで不気味。家の場面では不気味な低音がずっと聞こえるので、そこに生活する人々がいかに無自覚に大勢の犠牲の上に幸せな生活を享受しているか言葉もない。所長の妻ヘトヴィヒはこの生活を東方へ生活圏を拡大していくドイツ人の先鋒で、自分が丹念に増築させた理想の環境だとまで言う。壁の向こうは関心領域の外で関係ないのだ。サーモグラフィ写しになっている少女の場面など映画を観ただけではわからない場面もあって難解な部類の映画だがこれは映画館で観て聴いて体感すべきではないか。