緑

沈黙の自叙伝/自叙伝の緑のネタバレレビュー・内容・結末

沈黙の自叙伝/自叙伝(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

村の権力者に代々仕えてきた家の息子が、
父親が自分の土地を守るために
バッテリー泥棒をして収監されてから
権力者に仕えるようになり、
恩恵を受けたりショックを受けたり
セクハラを受けたりしつつ、
権力者への反抗心を募らせて
権力者を殺す話。
印象としては、
僕の小規模なゴッドファーザー。

想像以上におもしろかった!
主人公が夜の林の中で権力者を追い詰めて
撃ち殺すまでの緊迫感がとてもいい。
画は全体的に曇っていて青みが強く、
その色彩に夜の闇を加わったことで
このシーンの緊迫感を煽る煽る。

主人公がモスクに車をぶつけ、
周囲の人たちに過剰な難癖を
つけられかけたときに
同乗していた権力者が降りて
その顔で事を納め、
主人公には軽く謝罪させた。
そして謝罪は人を動かすと言われて
鵜呑みにしてしまう主人公。
主人公は19歳とか20歳。
それでこの理解力のなさは
大問題ではなかろうか。
収監されている父親の
簡単に人を信じるなという教訓も
なんら響いていなかった。
一見物腰柔らかい権力者だが
借りを作ると一生そのことで
頭が上がらなくなるから
父親は自力で問題解決に挑んだはずであり、
この年齢ならそれくらいわかりそうな
ものではないか。
ピュアという解釈では納得し難く、
本作に於ける最大の欠点に思えてしまった。

主人公を権力者の擬似息子として扱う周囲。
しかし射撃を教えるときの指の動きや顔の近さ、
風呂場への乱入、
カラオケ時の太腿触りはセクハラであり、
権力者は擬似息子以外の感情を
持っていたとしか思えず。
射撃シーンまでは自分のBL脳のせいかと
思わなくもなかったが太腿触りで確信。
昨今騒がれているジャニー喜多川の事件が
脳裏にチラついてしまった。

軍をどう置き換えるかが難しいし、
年齢設定も少し変わるが、
橋爪功と池松壮亮で
リメイクしたらはまりそう。
緑