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テイクオーバーのAZのレビュー・感想・評価

テイクオーバー(2022年製作の映画)
2.8
オランダのハッカー映画。若いハッカーが活躍する設定の方が面白かったように思う。『ピエロがお前を嘲笑う』のように。といっても設定ではメルは26歳。ただ26に見えない…。


16歳の頃、軍の施設をハッキングしたことから、その腕を認められ、ホワイトハッカーとして働くようになったメル。ある企業の情報漏洩を防いだことから命を狙われるようになる。

ハッカー映画だが走る姿が印象的。命を狙われるようになり、警察も当てにならない中、問題を解決しようと奮闘する。普通の人では解決不可能な問題も、ハッキングという技術により自力で解決していく姿が逞しい。女性ハッカーって珍しいなと思ったが、『ドラゴンタトゥーの女』があったか。どちらもハッキング能力だけでなく、肉体的にも強いのが共通点。


なぜ殺し屋達は平然と警察署にやってこれたのか、裏で繋がっていたのか。彼らの目的は顔認証による個人情報の取得なのだが、所々分かりにくさがあった。あと、ハッキング自体は地味な作業なので、もっと演出が欲しかった。その辺り『ピエロがお前を嘲笑う』は面白い見せ方だった。

赤の他人のトーマスが大活躍するのが面白く、完全に巻き込み事故なのに、彼女を必死で守ろうとする姿がなんだかかわいい。あまりにも関係ない人物なので、中盤までこいつもあっち側なのではと疑いながら見ていたが、ただの良い人で安心。

最新のテクノロジーを交えながら、その危険性を感じさせるストーリー。だが、人間関係の部分が描ききれてなかった。ブディとメルの関係がそこまで描かれてないのに、最後感動を誘うような演出が...。感動は全くない。かなり序盤でメルは殺し屋から狙われ、その後はずっと逃げている。85分と短い為、テンポよく話を進めないといけないからだろう。物足りなさを感じる作品だった。

この経験を通してメルが成長するといった話ではなかったように思う。彼女は何も変わらない。だが、芯のある強い女性は魅力的。最近見た『シー・ハルク』のジェニファーっぽさをメルから感じる。女性の強い姿を描く作品が増えてきたなぁ。
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