AZ

雪山の絆のAZのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.9
おすすめされていたものの、実話をもとにした映画があまり好みではないのと(それならドキュメンタリーが見たい)、少し長い映画なので敬遠していたが、この映画においてはその長さが効果的だったように思う。いつまでも続くこの状況を疑似体験できる。実際はもっとはるかに長い時間この環境にいたと思うと、彼らはなぜ生き残れたのか不思議で仕方ない。本当に奇跡。一つ彼らが生き残れた理由を挙げるとするならば、ラグビーチームという肉体も精神も強く、そしてチームワークが形成されている人間達だったということ。

----------

事故が起こる前の彼らの関係性を描くことで、その後の悲劇の中で湧き起こる悲しみや苦しみの感情が想像しやすくなっている。また、この映画を中盤まで俯瞰して支えていた主人公的な役割の人物が死んでしまうことで、誰が死んでもおかしくない油断のできない状況がますます強調される。

飛行機の墜落シーンもリアル。機体が壊れ、人が飛び、地面に激突した瞬間に座席は前方に雪崩れ込む。そこに挟まれ機内の一部につき刺さるものいれば、挟まれ骨折するものも描写される。この状況から生き残ることが想像できない。だが、その後の彼らの姿を見入ると、彼らだからこそ生き残れたのだなと思わされる。

生きることを諦めない姿、希望を持ち互いを思いやる姿。そして、この苦境にも関わらず笑顔も見せる。前述した、彼らがラグビーチームだったというのもあるが、冒頭で描かれた宗教上の理由もあると思う。神を信じるということ。信仰心はあらゆる困難を別の視点で捉える力を与えてくれる。神が見ているという気持ちがあるからこそ、最後まで諦めずにいられたのだろう。

ラストの展開は予想外で、自ら遠征し助けを求めに行く。とんでもない精神力と体力。すでに2ヶ月経っているというのに…。

信じることと、互いを思いやること、肉体と精神を鍛えることの重要性を痛感させられた…。

----------

晴れた日の雪山で裸になるシーンがあるが気温はどのぐらいだったのだろう?また、夜や嵐の日の気温も気になった。具体的な数字を知れた方がどういう環境だったのかが想像しやすいから。

信仰心によって救われた部分も大きいが、その反面その信仰心によって人肉を食すことをためらう姿が印象的。最後まで仲間の肉を食べずに死んでいったものすらいる。それぐらい神の存在は彼らにとって強いのだなと。

あとは、実際どんな味だろうと想像してしまった。。
AZ

AZ