地底獣国

Single8の地底獣国のレビュー・感想・評価

Single8(2023年製作の映画)
3.5
自分の中で小中和哉氏といえば「小中千昭の弟」ぐらいの位置で、彼の監督したウルトラマン映画2本観たものの、どっちがどうとは申しませんがひとつは「中盤まではまあ良かったけどトータルでは嫌いな部類」、もう一本は「クライマックスのとこだけめっちゃアガった」ぐらいの感じでした。そんなわけで期待値低めで観にいきましたが…

結論から言うと「そっと愛でたくなる映画」

ざっくり言うと「フェイブルマンズ」とJJエイブラムスの「SUPER8」を掛け合わせて縮小したような内容。友人と二人でカメラを回しそこから同志が増え、淡〜い恋心を抱いてたクラスの女子をキャストに加え、彼女との関係が進展するのか?しないのか?というあたりはSUPER8、観て衝撃を受けた映画のワンシーン(本作の場合はスターウォーズ一作目の冒頭)を自分なりに再現するところから始まってそこから次第に映画作りというものを身に付けていく流れはフェイブルマンズ味がありましたね。

ミニチュアの宇宙船をいかにデカく見せれるかの試行錯誤とか(スターデストロイヤーみたいな、というイメージで作り上げたミニチュアが妙にザノン号ぽいっていう小ネタには笑った)、8ミリフィルムカメラでリバースをやる時の詳細な説明とか、凄いその時の楽しさが伝わって来て良い感じ。

とはいえ、「フェイブルマンズ」という劇薬を喰らってしまった後では本作の微温さを物足りなく感じてしまい、「もうちょっと残酷さを足してくれたらなぁ」などと思ってみたり。勿論小中和哉氏とスピルバーグでは特色が違うし、「こういうのが良いんだよ」と言う向きがおられるのも理解できますが。

主人公たちが完成させた映画(つまりは小中氏が高校時代に撮った映画のセルフリメイクともなる)「タイムリバース」を全編流されたりしたら「いや分かるよ、分かるけど、そおゆう所!そこを頑張って切る覚悟を持たんと!」って突っ込まずにはおれませんでしたね。

ダラダラ書いてきましたが、あとこれは声を大にして言いたい。

「髙石あかり大勝利‼︎」

いやもうね、正味の話、SUPER8のエル・ファニングに負けてないですよ‼︎個人的見解ですが。

おまけ:カットの声がかかっても歩き続けるとか、フェイブルマンズとシンクロするところが所々あったのは興味深い。それと喜男役の福澤希空がどことなくガブリエル・ラベルに似てる感じがしたのも個人的には面白かったですよ。
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