エアール

薔薇の名前のエアールのレビュー・感想・評価

薔薇の名前(1986年製作の映画)
3.6
全体を通して派手さはなく
ショーン・コネリーが醸す渋み、
次から次へと湧いて出てくる謎、
修道士としては大罪となる恋愛と心の葛藤、
それからやはり目を引くのは
中世の修道院を再現するため、実際の修道院内部を改装&利用したという撮影シーンや大掛かりなセットも
好きものには堪らないでしょうね 笑


1327年の暮れのこと
北イタリアにある、聖ベネディクト会が運営するとある修道院にて
聖フランシスコ会より修道士 ウィリアムと彼の弟子 アドソが派遣される。

修道院に着いて早々
ウィリアムとアドソは修道院長から
若い修道士の不審な転落死について聞かされる
ーー優れた写本絵師の僧 アデルモ、
ひょう混じりの大嵐のあとに死体が発見される、
塔から落ちたらしい。
だが塔の窓は、不思議なことに…閉じられていた。
はめ込みの窓で、ガラスも割れておらず、屋根にも上がれない。
ではどうやって転落したというのか…
そもそも彼はなぜ嵐の日に塔へ行ったのか…
この件について悪魔の仕業に違いないと、修道士たちは日々怯えている。

是非この件の真相を解き明かして欲しい、と修道院長から頼まれ引き受けることにしたウィリアム。
がその直後
屠殺場のカメから新たな死体が見つかる
ーーこちらも若い修道士、翻訳僧のヴェナンツィオ。
ギリシャ語の優秀な翻訳者で、アリストテレスを訳していた。

最初の死との関連性、
自殺か他殺か、
遺体の特徴として
利き手の指先と舌にはインクで汚れた黒いシミが、
2人とも図書館の職に就いていた、
何かを隠す図書館長と副司書、
館長と副司書以外の者が立ち入ることを禁じられている奥の扉の存在、
蔵書が有名なはずなのに書架の本が明らかに少ない
ーーこれからのことから
図書館の書物に何か手がかりがあるに違いないと考察するウィリアム、
ギリシャ文字のメモと隠れた暗号メッセージ、
新たな犠牲者の発見
ーー副司書の遺体
何か知られてはまずい極秘情報でも握っていたのか、
それともこの世のものではない”なにか”の仕業なのか、
異なる思想、
神の言葉に疑問を抱くことの恐れと信仰の敵
異端者の存在と異端審問官の裁き、…


信仰と狂信は紙一重
ここですな、要は 笑

元異端者の、醜い容姿が特徴的なサルヴァトーレを演じたロン・パールマンの怪演ぶりがまたお見事でして。
それからまだ若い、というよりか幼いクリスチャン・スレーターと
名もなき少女 ヴァレンティナ・ヴァルガスの絡みもね‼︎

過去に起きた、忘れ難い出来事を
老いたアドソが今
手記におこしている設定なので
終わりも手記の締めくくりで
〜〜〜〜〜〜
師から多くのことを学んだ
英知 良心 真実を
別れの時に師から眼鏡をもらった
いつか役に立つ時がきっと来るだろうと
今 その眼鏡をかけて
この手記を書いている
師は父のように私を抱きしめ
お互いに別れた
その後 二度と会うこともなく
消息も知れない
神よ 師の魂を受け入れ
鋭い知性ゆえに本に執着した
ささやかな罪を許したまえ
そんな私もすっかり年老いてしまった
長い人生で大勢の人に出会ってきたが
あの娘は鮮明に覚えている
懐かしい夢のような
遠い昔の思い出
この世で たった1人の恋人
もはや永遠に知ることはないだろう
その名前を。
エアール

エアール