コミナミ

To Leslie トゥ・レスリーのコミナミのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.2
宝くじに高額当選したが、数年後、全額酒に使い果たしてしまい、人生のどん底に落ちたアル中ママの物語。

主演のアンドレア・ライズボローの演技が凄い!
人生詰みすぎて逆に開き直るモードに入った彼女の立ち振る舞いには、それでも何か罪悪感や後悔といった種類の絶望感も見えて、本当にどうしようもないなと感じずにはいられませんでした。
度々差し伸べられる救いの手を自らのだらしなさで振り払ってしまう姿も観ていて胸が痛い…!
しかし、酒浸りのレスリーは不思議と絵になるシーンも多くて、何とも言えないオーラを感じちゃいました!

本当にどうしようもないアル中で、それ自体に共感できる部分は少なかったけど、人との繋がりの中で彼女が見つける希望はとても暖かく眩しいもので、ハッと気付かされることも多かったです。
生活の中で人から受け取る愛情や温もりを当たり前のものだと感じてしまうことも少なくないし、逆にそういったものを与えられていることに気付かないことさえあるんだろうな…

劇中、何回かレスリーが改心する(しようとする)んですけど、その中に今年観た映画の中でトップに入るくらい美しくて印象的なシーンがありました。
救いの本質的な部分に込められている温もりに触れたような気がして、良いもの観たなぁといった感想です…!

どこか閑散としたテキサスの街並みも良かった。
レスリーが抱く悲哀を感じたし、一方で、どんな悩みもちっぽけなものに見えてしまうくらいの悠久の時間の流れの中を生きている感覚も覚えました。

良い作品でした!
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