なつこ

生きててごめんなさいのなつこのレビュー・感想・評価

生きててごめんなさい(2023年製作の映画)
3.7
自分に無い部分を愛した時間と、自分と相容れない部分を腹立たしいと思う時間。

彼女は手を拭いて欲しいんじゃない。
話を聞いて欲しいだけなのだ。

莉奈ちゃんめんどくさいしウザイけど、それは元々で別に何も変わってない。
変わったのは2人を取り巻く状況と修一の気持ち。

嫌な仕事と思うようにいかない夢、イライラすることばかりの中で、ニートだった莉奈が自分より評価される現実が面白くないのは当然で、セリフもとてもリアルに響いた。

だからっていい加減な仕事をして、周りの迷惑を考えることも出来なくなっていた彼はその時点で終わってるし、そんなメンタルで書いた小説がいい作品なわけがないのだけど。

パワハラ上司ムカつくけど、言ってることは正しい。

誰が悪いとか何がダメとか、提示しないのが本作の好いところ。
それは見方や状況によって変わるものだから。

もしかして別れて終わっちゃうのかなと思ったら、ちゃんとそこから先があって、とても余韻を引く鑑後感だった。
優しい空気で切ない気持ちを引き出す、とても好みの作品でした。


あ、個人的にチワワのくだり書かかないと気が済まないw

「この子だけでも助けたかった」という莉奈ちゃん。確かに無鉄砲だし勢いで何とかなることじゃないけど、見て見ぬふりしてる人に、彼女を責める資格は無いと思う。

「私だって手が震える」って?手が震える罪悪感があれば犬を処分していい理由になるの?
だったら生体販売なんてやめてしまえ。

何より自分がしつけ出来ないからって、犬の声帯取る人とか捨てる人は、一生生き物飼うな。そしていつか酷いバチが当たればいいと本気で思う。
なつこ

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