レバノン、韓国と北朝鮮の国境、アウシュビッツ、それぞれにとって重要な地でショパンを奏でる3人のピアニストの姿。音楽と心。感情の解放。魂の治癒。平和への願い。そして弔い。正に音楽は神の言語さながら。音楽と真摯に向き合うそれぞれの姿勢に学ぶべきものがあった。

#148　ポーランド映画祭＠写美
これは、ドキュメンタリふうに構成した、一種のミュージック・ビデオではないか！
いくらなんでも、ベイルート、朝鮮半島の国境、アウシュビッツの3か所で、ショパンを弾こうとするピアニストが、偶然、同時に3人も出現するとは思えず、明らかに、だれか仕掛け人がいるか、あるいは、この映画のために企画されたに決まっている。
しかも、どれも、せいぜい十数名しか聴衆がおらず、ベイルートに至っては、シリア難民の子どもたちに聴かせたいようなことを言って交流場面を描きながら、当の子たちは、聴衆のなかにいない。
3か所とも、明らかに「画面」優先の野外演奏だ。
さらに、いったい、なぜ、そういった地で「ショパン」なのかが、どうにもわからない。
（ポーランドと韓国の合作だから、仕方ないのか）
仮にショパンでもいいのだが、だったら、なぜ、もっと、訴えかける曲（たとえば、バラードの2番や3番、《革命》のような）を演奏しないのだろうか。
あれでは、まるで喫茶店のBGMではないか。
もう、いまの時代、こんなバレバレのドキュメンタリは、通用しない。
こんな作品を、由緒あるポーランド映画祭に選出して、いいのだろうか。

幻想即興曲