このレビューはネタバレを含みます
雪のドライブの日には主人公の気持ちは既に“クロワッサン”に移っていた。そしてそれに自分自身気づいていたはず。にも拘わらず突然クロワッサンに対してあまりにひどい態度を取り、その後ホテルでは親切な店員に“ザッハトルテ”に逢えないことに苦悩しているかのような当たり散らし方をする。ほぼほぼ多くの観客は最初に犬を連れたクロワッサンが登場した時点で物語の結末をほぼ正確に推測したはず。敢えてそんなベタな展開を用意する以上、ストレートにそれを全うすれば良いのだ。つまるところ上記のシーンは不要であり、ロマンチックなストーリーに水を差しただけ。この二人がくっついたところでこの先この男は度々理不尽なキレ方をするだろうとか、この男に感情移入できなくなったとか、ネガティブなノイズを観客に生じさせる効果しかなかった。