Maki

おやすみ オポチュニティのMakiのレビュー・感想・評価

おやすみ オポチュニティ(2022年製作の映画)
4.5
プライムビデオで配信されてる『おやすみオポチュニティ』とても良い話でした。
実際に2003年に火星の歴史を地質から調査し生命の痕跡を見つけるため送り込まれた2台の探査車(ローバー)たちの記録なんですが、過酷な任務をローバーたちは淡々と人間からの指示に従い活動続ける姿がただただ健気で科学者たちが愛情をもって彼女らを見守り続けてきた歳月も、先駆者たちから子供時代にロケットの打ち上げをキラキラした瞳で夢と希望を抱き見ていた若い世代へとバトンタッチされていく過程も感慨深かった。
地球上の人の時間で、宇宙の時間の中にある火星という星に残された星の歴史を探し追い求めることの果てしなさ。それに挑む人たちがとても頼もしく尊いと思った。
ローバーを完成させた時に活動できる寿命は90日と予想されていたにも拘わらず、
2台のローバーたちはそれよりも遥か長い歳月を遠い火星で活動し続けた。スピリットが6年。オポチュニティは15年。その期間に人間と同じようにロボットも年老いて2018年の通信を最後に途絶えた。
プロジェクトの終了を悟り長い歳月を故郷から遠く離れた星で眠りについたAIへ労いと感謝、おやすみなさいとメッセージを込めてかけられた曲、ビリーホリデーのI'll Be Seeing You. 曲を選んだプロジェクトチームの長老的存在の彼が言葉を詰まらせながら、この曲が男女の別れの曲なのだと話す表情が寂しげで、けれどどこか区切りをつけたかのようで清々しくも感じ歌声が静かに胸に沁みました。
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