今回のテーマは自己同一性,性の問い方(1969~1979)
1970年代に入り、ドイツ,イタリア,オーストラリア,日本などにおいて自己同一性を扱った映画が次々と作られる。
ドイツにおいては、ファスビンダーがドイツ人に歴史や自己像について問いかけ、その他ヴィム・ヴェンダース,ヘルツォークなどのドイツ人監督が傑作を発表し、ニュージャーマンシネマのムーヴメントが沸き起こる。
そこにはアメリカ映画への憧憬と批評が独自に展開されており、アイデンティティやセクシャリティの模索、社会規範への異議申し立てなど社会批評性の高い映画が作られる。
イタリアでは、パゾリーニ、ベルトリッチなどの監督が躍動。
大衆娯楽やアートとはまた異なる「第三の映画」の躍進と拡張。
戦争の影や急激な経済成長による歪みを冷徹に捉えた日本のドキュメンタリー作家としては原一男が紹介される。
ベルトルッチの『暗殺の森』を観たゴダールがベルトルッチを呼び出して、毛沢東の肖像に「帝国主義や資本主義と戦わなくてはならない」って書いたメモを渡して無言で立ち去った…という映画マニアには眉唾物のエピソードも