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オットーという男のyaekoのネタバレレビュー・内容・結末

オットーという男(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


『幸せへのまわり道』ではあんなに柔和で優しいおじいちゃんだった彼が、見事に頑固な偏屈じじいになってた。
と、見せかけて、やっぱり彼はとても愛すべきおじいちゃんだった。

ソーニャや彼の父のエピソードなど、多少削られてた部分はあったけれど、思ってたよりオリジナルに忠実だったなあ、と。
あと、オットーの辿る道について、こちらの展開の方が緩やかで受け入れやすかった。オリジナルを鑑賞済みだからこその感想かもしれないけれど、オーヴェのはちょっと唐突に感じたんだよね、、、わたしの心の準備が色々間に合ってなかった。
オットーの方が、オーヴェよりも心情が追いやすくて、彼自身も言葉にしてくれていたので、寄り添えたかな。

しっかし、あの怪訝な険しい眉間の皺が、いつの間にかこちらの様子を伺うような、まるで子どもみたいに可愛く見えてきちゃうから本当に不思議。トム・ハンクスの演技力よ。

あの、ベビーベッドを贈るシーンがとても好き。最後の手紙でもそうだけれど、オットーの人柄がよく表れていて、愛おしい。

彼女こそが命だったと言える程心から愛した人を喪って、より頑なになった堅い扉も、マリソルら友人たちに何度もノックされて、溶かされていって、彼はちゃんと生き抜いた。
こんな言い方は不謹慎かもしれないけれど、彼女の隣に名前が刻まれたあのお墓が、陽に照らされて誇らしげに見えてしまったよ。
彼は、本当に素敵な隣人だった。

感動や驚きは確かに薄れてしまったけれど、こちらもこちらで充分に違った味わいがあって、良かったです。
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