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メグレと若い女の死のSHのネタバレレビュー・内容・結末

メグレと若い女の死(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

変哲もない「普通」の、どちらかというと地味な推理物だけど、とても好みの映画だった。(推理物というよりメグレの物語)

まず俳優ジェラール・ドパルデューがこの作品のメグレとしてハマっている。
大きな丸まった背中、パイプを口に運ぶ仕草、歩き方や喋り方、息切れさえも。
そして亡き娘の面影を追いながら若い女の殺人事件を捜査する、彼の何とも言えない哀しさや抑えた静かな怒り、偶然出会ったベティと一緒の時に見せる顔。唯一笑ったのはあの鏡の中だけ?

貧しさや孤独から抜け出そうと、
あるいは希望をもって田舎からパリに出てきたものの暮らしていけない若い女と、彼女達を「くいもの」にする金持ち。
この弱者と強者の対比。殺された女のアパート、慎ましい部屋を見た後あの金持ちの豪邸を見ると目眩がした。

殺人事件捜査に熱中したのは勿論、
自分の亡くなった娘を重ね感情移入したのだろう。
ただそれだけではなく、若者の将来を潰したくない、大人としての若者への責任もあったのではないか。


原作未読。
素敵なポスタービジュアル。
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